株式会社メティス metis

新しいおもちゃ

30年続いた平成が終ろうとしている。
平成に入ったときに私は社会人になった。
つまり、平成とは私の社会人生そのものだった。
理系出身で国語が全くできない私が出版に携わり、12年間もやっていけたのは奇跡。
そして、何を思ったか、独立していまもなおこうして会社を経営していることも奇跡。

社員たちには過去を振り返って武勇伝のように軽く語ってはいるが、そのときそのときでうまく事が運んだのだと思う。
連戦連勝の人生はない。
二勝一敗か一勝二敗を重ねていくようなものだと思っている。
同じ二勝一敗でも負けが先に来ていたら今のようにはなっていなかったかもしれない。

勝ちが先に来て、負けに耐えることができたから、いまの私がある。
ちょっとした巡り合わせがうまく繰り返されて、ほど良い今の状況を生み出しているように感じている。
これからの令和時代よりも、いまは平成の時代を振り返りながら、懐かしみたい。
最近、新しいおもちゃを買って、それに夢中なのだ。

一眼レフというのは、言葉にできないような非科学的な「巡り合わせ」に通じるものがある。
自然の中にある生き物すべてが不規則に動く。
その一瞬をとらえて、生まれた画像を手にする。
同じ景色がたった10センチ位置を変えただけで、10秒シャッターを遅らせただけで、違ったものになる。
非論理的な世界の中から生まれる偶然の産物を楽しむことができるわけだ。
まさに自分が歩いてきた平成の時代と同じようなものなのだ。
うまく撮りたい。
きれいに撮りたい。
そのように頭で考えるのではなく、ただ巡り合わせに任せて、偶然に生まれたものを楽しむのだ。
平成の終わりに手に入れたこのおもちゃを片手に、令和へといざ行かん。

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