株式会社メティス metis

納豆かけるオクラかけるめかぶかける山芋。そのこころは

当社の創立記念日は2月22日。
すでに創業17年目の1年が始まっているわけだが、とにかく16年目から17年目にかけてのこの3週間は慌ただしかった。
誠に信じられない話だが、実は、私を、当社を取り上げた映画が上映される。
正確には上映予定で、現在は制作中で、実際に上映されたとしても2年後になりそうなのだが、決して眉唾な話ではない。
いたって、真剣で、本気の本気なのだ。
別に、自らの記念のために、自らの虚栄心を満たすために、大枚をはたいて作ろうというわけではない。
私の死期が迫っていて、見るに見かねた誰かが同情で作ってくれようとしているわけでもない。
当社が経営する探偵BARに興味を抱いた物好きな外国人の方々が、真面目なドキュメンタリー映画として、作りたいということでこうなったのである。
こんなちっぽけな会社の地味な我々を取り上げて、映画などにできるものだろうか。
去年からこの話はあって、当初は短編のドキュメンタリー映画のはずであった。
それが、ふたを開けてみたら、尺が60分~90分という長編ものに変更になり、えらく心配になった。
具が一切入っていないようなカレーを何倍もおかわりさせることができるのか。
スーパーに売っているような赤身のマグロをすし屋の中トロ、大トロのレベルの美味しさにうまく盛り付けできるのか。
書いている私自身がよく分からないが、我々のへんてつもない日常を一体どうやって料理するのか不思議でしょうがない。
スウェーデン人の女性映画監督、イギリス人カメラマン、日本人の音声さん…。
映画製作のスタッフに三週間ほどストーカーのように付きまとわれて、ようやく彼らは母国に帰って行った。
撮影最終日の写真を見ると、私だけ笑顔が引きつっている…。

正直、こちらはヘトヘトで、いまは嵐が過ぎ去った後の静けさに包まれて、ただボー然としている。
また、今年の11月にやって来るそうで、撮影作業はまだまだ続く。
あの東芝がやばい。
こんなご時世に、新たな責任を負ってしまった。
俳優デビューがいきなりの海外映画。
具のないカレーかスーパーの赤身のマグロか分からないが、薄っぺらい一寸の虫にも五分の魂の気持ちで、映画祭狙うぞ。
撮影協力を通して、つくづく体力がなくなっていることを知った私は、最近はこの自家製ねばねば料理にはまっている。
納豆、オクラ、めかぶ、山芋と半熟卵を器に放り込み、ぐちゃぐちゃに混ぜるだけで、料理というレベルのものではないのだが…。

これが意外と奥が深い。
醤油だけだとねばねばがきつすぎて喉を通りにくい。
ご飯にかけて食べるわけだが、ずずずーっと流し込むことができない。
そのため、めんつゆなどだし醤油を作って適度に水気を与えると、味に深みが出て食べやすくなるわけだ。
4種類のねばねば系食品を卵とだし醤油で調整して、ねばねばがキツすぎることなく、あっさりし過ぎず程よいものにしていくのが結構難しい。
いまは2日に1度は食べているが、暖かくなったら、梅干しを混ぜるのもありかと企んでいる。
設立20年を無事に迎えるためには、それに至るまでの17年目、18年目がとても大切な時期になろう。
粘り腰だけで通じるほど世の中は甘くないはずで、そこにちょっとした知恵と工夫というだし醤油をうまく加え調整していかねば会社は持たない。
それが私の大きな役目であると実感した今日この頃である。

社長月記トップに戻る