株式会社メティス metis

コインの裏

さて、この見事な球体、これはなんだろう???
けっこう固い質感で、独特の色をしている。
意外と重い。

この年になっても知らないことばかりだ。
実は、これはアボガドの種。
自然が生み出す見事な球体に驚くばかりだ。
水に浸すと、さらにズシリと重くなり、色合いも変わる。
いまのいままでどうして知らなかったのか。
アボガドの種と出会ってこなかったのか。
こんなちょっとした発見があれば、人生がちょっと楽しくなったりする。
つい最近、斉藤一の写真が公開された。
斉藤一といえば、新選組の三番隊長。
沖田総司、永倉新八と並んで、幕末の最強の剣士の一人といわれた人物。
いままで出回っていた斉藤一の写真は別人のもので、真実の姿を知ってもらうために、親族が公開したという流れだった。
この写真は斉藤一が53歳の時のもの。
私の同年代でありながら、やはり、人間としての深みがまったく違う。
激動の明治維新を生き抜いて、数々の死線を乗り越えてきたその眼は、鋭くもあり、優しくもあり、包み込むようなゆとりもあり…。
歴史書に載っている斉藤一はほんの一端で、いくらその行間を汲み取ろうとしても、真意は見えない。
想像もつかない。
ただ、実物の写真を目にできたことで、ほんの少しは、斉藤一が重ねてきた数々の出来事に隠されている真意に近づけたと思ったりする。
アボガドの種は出会わなかったことで知らないことだった。
斉藤一は親族の手により、知らせてくれてれた。
いきさつに違いはあれども、知ろうとすること、そしてとある出来事にある真意を読み取ろうとすることの重要性を改めて感じた。
コインの表ではなく、裏に目を向けよう。
それではじめてコインの表の意味が分かるということだ。
経営者は誤解されやすい立場にある。
表面上の言動から単純に良し悪しを判断されてしまえば、たまったものではない。
かといって、真意を説明すればいいという単純なことでもない。
その逆もしかりで、経営者も社員たちの表面上から簡単に判断してはならない。
つまり、経営者にも社員にもコインの裏側を見る力が求められるというわけだ。
その延長線上にコインの表があり、将来を見抜く力になってくる。
アボガドの種と斉藤一。
しばらくはこの二つが頭から離れないだろう。

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