株式会社メティス metis

一本の雑草

先月は舛添、英国EU離脱と大騒ぎだった。
当社は都庁と目と鼻の先にあり、喧噪の中、仕事に追われた。
作業能率がただ落ち。
毎日毎日マスコミやら警察車両やらで騒々しく、普段静かな都庁周りの道路も大渋滞。

40億50億円かけてまた都知事選でうるさくなると思うと嫌になってしまう。
吐いた唾を飲もうとしている舛添にも腹が立ったが、金だけでなく、こういった迷惑を被った人たちのことを分かってるのかと思う。
そんなこんなの流れの中で、英国残留を先読みして、思いっきりドル買いをして、大外れ。
まあ思ったよりも円高には触れなかったから、ある程度寝かせればもとに戻るとは思うが、散々な6月だった。
また一つ年を重ねて、ぼんやりと過ごしていたとある日のこと、こんな光景に出くわした。

人によっては、とるに足らないことだろう。
私自身も普段ならあまり気にも留めないささいなことだ。
ただ、このときには、妙にこの雑草にどことなく神神しさを感じたのだ。
じっと眺めていると、だんだん愛おしく思えた。
たった一本。
草木の存在を許さないコンクリートに抗い、顔を出して、陽の光を浴びている。
なぜこの一本だけが力強く上へ上へと昇ることができたのだろうか。
十把一絡げにして雑草として扱われてしまっているが、こいつにも名前があるのだろう。

雑草にして雑草に非ず。
こんな光景を目撃してしまうと、いままで雑草としてひとくくりにしていた自分がとても恥ずかしく思えた。
植物が生長していく過程の伸びて膨らむ力を生長応力と呼ぶそうだ。
植物にとっては生き死にの話で、本気で力を出すと、丸一日で17ミリもアスファルトを歪ませることができるらしい。
もちろんいろいろな条件が揃わなくてはならいと思うが、この小さな生き物に隠された力に触れたことで、元気というか勇気をもらった。
暗闇の中から光を求めて生きようとする源は、同じ生き物である限り、私にもあるはずだ。
そんな当たり前のことを改めて知ることができた今日この頃である。
たかが雑草。されど雑草。
ちょっとした発見で気分ががらりと変わるから、面白いものだ。

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