株式会社メティス metis

真田の光

思わずクスッと笑えてしまって、つい買ってしまったではないか。
飲み物を買いにスーパーに行ったつもりが、見事にやられた。
こんなものを見せられたら、手に取らずにはいられない。
何年ぶりに自分で米を抱えてレジに並んだことだろう。



ただの歴史好き、大河ファンだからこの「真田の光」を買ったわけではない。
米にこのようなネーミングをつけてしまう商魂というか、すきま産業的なところというか、真田らしさを強烈に感じてしまったのだ。
だから、クスッと笑えた。
「真田」と言えば、まあほとんどの人が真田信繁、つまり、真田幸村をイメージするだろう。
今の大河ドラマ「真田丸」で言えば、堺雅人だ。
しかし、経営者に限っては、「真田」となれば真田昌幸を真っ先に連想するはず。
ようは「真田丸」の草刈正雄だ。
現代で言えば、すきま産業の雄と言えるし、理想的なベンチャー企業の創設者と評したっていい。
仕えていた武田家が滅亡すると、織田信長、北条氏直、上杉景勝、豊臣秀吉と次々と主君を変えていった。
真田家のような吹けば飛んでしまうような地方の領主は、長いものに巻かれなければやっていけない。
とくに真田は上杉、徳川、北条と大大名クラスに周囲をびっしりと囲まれ、独立独歩でやっていけるはずはない。
仕える先を読み違えば、それで家は滅びる。
その時々の情勢にあわせ、綱渡りの中、主君をかえながら、生き延びた。
情報収集力、決断力、交渉力どれをとってみても比類なきものであったはずなのだ。
相当にすごいと思うのは、自軍の何倍、何十倍の兵力を誇る徳川家康に上田合戦で2度にわたって勝っている。
ただ長いものに巻かれているだけではなく、徳川と対決するという大胆な行動もとることができる。
優秀な知能を持っていればいるほど、当時の状況で徳川と戦おうなんてことは思わないはず。
つまり、知力だけでなく、バカになれる力を携えた人間だったのではないかと思う。
陳腐な言い方をすれば、凄腕のギャンブラーだ。
負けたとしても、生き残り、復活するための道筋を常に残しておくことができる、凄腕なのだ。
紐解いてみて、これほどおもしろい戦国武将は存在しない。
勝つとは、負けとはいったい何なのであろうという妙に哲学的なことも考えさせてくれる。
零細中小の企業のビジネスとは、いかに勝ち進んでいくかではなく、維持して立ち直すことのできる負け方にある。
柔道で言えば、受け身の練習を強く意識して行うことだ。
「真田の光」を毎朝食べているが、果たして少しは受け身が上手くなったであろうか。

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