株式会社メティス metis

掟上今日子の備忘録

先月の下旬はイギリスの女性ディレクターの取材対応でばたばたでした。
なんでも私を通して日本の探偵にスポットを当てて、ドキュメンタリーの短編映画を作り、国際映画祭に出展するつもりのようだ。
壮大な計画を描いているようで、まあ話半分で取材に付き合ったのだが、マジも大マジ。
家から会社に出勤するところとか、べったり張りつかれて、撮影時間は20時間を間違いなく超えた。
今回の撮影をもとにスポンサーを集めてドキュメンタリー・タッチで作品を作っていきたいそうだが、どうなることやら…。
価値観が似ていて、変な計算がそこには無くて、純粋に面白いものを追及しているクリエイターとの出会いは刺激になる。
言葉の通じない中で取材を受けるこちらも大変だったが、あっという間の出来事だった。

そして、気がつけば、年の瀬。。。
設立して15回目の年末を迎えた。
15年かあ。今年も良いこと、悪いこといろいろあったが、記憶を辿っても細かな部分はけっこう忘れている。
売上も過去と比べて似たり寄ったりで、大きな出来事と言えば、スタッフの大きな入れ替わりがあったことくらいだ。

先日、終わってしまったが、新垣結衣主演の日本テレビ系ドラマ「掟上今日子の備忘録」。 私は、とりあえず探偵モノのドラマはひと通り見るようにしている。
何の気なしに見続けていたが、意外にも大いに考えさせられるドラマだった。
ざっくりいうと、一日で記憶がなくなってしまう探偵が主人公なのだが、あほらしいと思いつつも見入ってしまった。
一日で記憶がリセットされてしまうのは非現実的な話だが、一日を一年、十年、三十年に置き換えてみるとぐっとリアリティが増してくる。
とくに、私のような微妙な年頃になると、忘却と記憶のせめぎ合いのようなものがあって、途中から感情移入してしまった。
最終的には今を、今日を精一杯生きようということなのだが、その積み重ねが後悔のない人生を送れるということではないか。
ごくごく普通に言われていることだが、この歳だからこそ、すーっとそれが入ってきた。
人生も切りが良い年で、会社も丸15年経ち、来年からは過去や未来にとらわれることなく、その一年を駆け抜けようと思った。
結果的にそれが未来へと繋がれば良いし、ダメであっても、振り向かない。
きっかけは新垣結衣というのははなはだ情けないが、新しい年を目の前にして、漠然であっても「こうしよう」と思えたことは喜ぶべきことだ。

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