おじじにおばば
とにかく一言。こんな愉快な日にはめったに巡り合えないものだ。
懐かしさと新鮮さ、そして楽しさとわびしさ。あらゆる感情が湧き出る一日だった。
先日、高校時代の同窓会があった。場所は高校の最寄駅の吉祥寺。
ただの同窓会ではなく、われらの学年全クラスの同窓会。
440~450人いたっけ。約3分の1の160人ほどが出席した。
数人の同級生とは2年や3年おきに会ってはいたが、150人以上の人とは正確に言うと31年ぶり。
10年ひと昔というがそんなもんじゃない。
30年あれば、容姿はもちろんのこと、人を変えるには十分な時間だ。
それぞれ自分だけはあまり変わっていないとは思っても、まあ違う。
当たり前のことだが、本当に皆それぞれ老けた。
高校時代の面影がかすかに残っているだけで、白髪頭にしわしわで話し方まで違っている。
おそらく幸せな人も不幸せと感じている人も納得のいく人生を送っている人もそうでない人もいるだろう。
離婚したヤツ、地方に住んでいるヤツ、出世しているヤツ、病気持ちのヤツ。
しかし、時の流れを遡ったこの集いでは、そんなことを一瞬でも忘れさせてくれる。
この30年の間にならがあったかなんて、一行の説明でカタがつく。
「29歳で結婚して子供はいない。そしていま自分で会社やってんの」
それだけで終わり。
話しのほとんどが「あんときこうだったなあ」「実はこうだったのよ」と高校時代の話に花を咲かせる。
おじじとおばばは結構元気があって、昼から夜まで四次会まで飲んだくれて、12時間。
それでも、まだまだ時間が足りなかった。
大半の人とはおそらく今生の別れだろう。
死ぬまで会わない。
この一瞬だけ、時間を共にした何とも言えない充実感。
一日だけタイムスリップして高校生に戻った驚き。
例え、10年後にこのような会があったとしても、こんな感動は得られないだろう。
さあ、これであと30年頑張れる。
おじじはまだまだ戦わなきゃならない。
しっかりやっていれば、また会う日も来るから。