株式会社メティス metis

笹倉鉄平の世界

画家の笹倉鉄平の個展はセントラルミュージアム銀座で6日まで行われていた。

画については全くと言っていいほど見る目も興味もないのだが、この先生だけは違う。
「月光浴」を見たときに衝撃を覚え、惹きつけられ、軽い言い方だがファンになった。
目利きのできない私だから、笹倉鉄平本人が主催する個展に足を運ぶしかない。
日によっては、本人が会場に来るので、直接話も聞ける。
美術品の目利きができない人間には、それが一番安全な方法である。

先生と会って話したのはちょうど一年半前のこと。
いつも笑顔で、芸術家によく見られる変な癖がなくて、人柄が素晴らしくて、先生の人間性を知ることでまた作品に一味加わる。
画家本人からその作品の意図を教えられることで、あたかも自分がその場所にいるような錯覚さえ覚える。
つまり、深みというか、同じ絵でもいろいろな見方ができたりもする。
この人だから描けるその人の持つ世界観を共有することで、何とも言えない味わいが一枚の絵に生まれてくるから不思議。
個展の最終日、駆け込みで会場に行くことができた。

今回のお目当てはこの「ドゥー・マガザン」。
一年半前と同じようにお目当ての絵の話を聞く。

「ドゥー・マガザン」というタイトルのこの画を見ると、ただ二軒の店先を描いたように映るかもしれない。
しかし、これが違う。
一方は店内に明かりが灯り、一方は店先を強く明かりが照らしている。
つまり、店の中からこぼれる光と外から照らす光を対比させているわけだ。

先生は言う。
「違う個性の二人が並んでおさまることで、新たな魅力や美しさを醸し出す。これは男女と同じ。」
描き手本人から作品に対する思いを告げられることで、今までとは全く違った見方ができる。
そして、画に対する愛情も湧く。

歴史にはまり、画に興味を覚え、私は何だか順調に年寄りに近付いているような気がする。

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